Notes on Scents 香りの採集帖

About

このサイトについて

学生のころ、『アロマテラピー事典』という本を買った。小泉今日子さんがエッセイに、本に香りがつくほど愛読していると書いていて、それがたまらなくかっこよく見えたのだ。完全にミーハーな動機である。少しぶ厚くて、学生にはちょっと高い一冊。帰り道に何度もページをめくっては、ベチバー、カユプテ、ヘリクリサム、聞いたこともない植物の名前を呪文みたいに口の中で転がした。あの日から、小さな茶色いびんが一本、また一本と家に増えていった。

今も、部屋の消臭スプレーを作ったり、寝る前に枕元でひとふきするスプレーを作ったり、気分に合わせてディフューザーに数滴落としたり。少し前にはフィトテラピーも学んで、植物とのつきあいは深くなるばかりだ。

ただ、作っていると決まって手が止まる瞬間がある。分量の計算だ。レシピは50mL用なのに、手もとの容器は30mL。今日はもう少し香りを強くしたい。そのたびに電卓を出して、滴数を割ったり掛けたりしているうちに、香りへのときめきが少しずつ算数に負けていく。それがくやしかった。

計算は、ぜんぶ任せてしまえばいい。そう思って作ったのが、このサイトだ。容器や濃度を選べば、分量は勝手に計算してくれる。レシピも気分で選べる。調合の楽しいところだけを、まるごと残しておける場所。

精油と聞くと、スピリチュアルなものや、怪しげな勧誘を思い浮かべる人もいるかもしれない。でも、ここにあるのはもっと素朴な話だ。植物からとれた、いい香りのしずく。それを混ぜて楽しむ、ただそれだけのこと。

香りを混ぜるのは、自分の「好き」を確かめる遊びだと思う。甘いのが好き、ほろ苦いのも悪くない、今日は木の香りの気分。このサイトが、精油ともう一歩仲良くなって、自分の好きな香りに出会うきっかけになったら、こんなにうれしいことはない。

使う前に

このサイトは診断・治療を目的としたものではありません。

暮らしで香りを楽しむために

研究や医薬品の記録と、家庭で香りを楽しむ方法は分けて紹介しています。このサイトでは、精油を飲む方法は紹介していません。個々の精油の注意は「使う前に」、分量と道具はレシピにまとめています。

精油ページの読み方

香りの特徴や使われてきた場面を、精油ごとに紹介しています。作用・適用の欄は、その精油を知るための手がかりとしてご覧ください。

作用・適用

「作用」は、専門資料で紹介される働きのことです。「適用」には、資料をもとに、その精油が使われる場面や悩みをまとめています。医療上の適応や、治療を勧める意味ではありません。

項目に添えた「芳香」は香りを吸う使い方、「肌」は薄めて肌に使う方法です。使い方によって働きや注意が異なります。

主な成分

精油に含まれる代表的な成分を載せています。すべての成分を並べたものではありません。

ブレンドするときは

ほかの精油と合わせたときの香りや、組み合わせ方のヒントを紹介しています。具体的な配合は、ページ下のレシピからご覧ください。

香りにまつわる話

名前の由来や産地の文化など、香りに親しめる話を紹介しています。植物そのものの話と、精油の話は区別しています。伝説や体験談は、その話の背景とともに紹介しています。

香りの特徴

香りの印象や系統を紹介しています。「似ている香り」は香りの近さ、「混ぜると相性がよい」はブレンドしたときの香りを知る手がかりです。

こんなときに

暮らしのどんな場面で使われてきたかを紹介しています。研究に触れる場合は、使われ方の記録とは分けて短く添えています。

ひとつの精油を調べた研究と、ブレンドを調べた研究は別のものです。精油ごとの働きを合わせても、ブレンドの働きを示すことにはなりません。

使う前に

その精油を使うときの注意をまとめています。実際に使う分量や道具は、レシピの材料・作り方をご覧ください。

参考資料

各ページで使った資料を、末尾の「参考資料を見る」にまとめています。資料の種類や原文へのリンクも、ここからご覧いただけます。

レシピの分量と希釈

レシピには、基本の配合に使う精油の種類と滴数を載せています。肌に使うものは、植物油などの基材で薄めたあとの濃度も合わせて見てください。

まず、作るものを選ぶ

レシピごとに、使う基材や分量が異なります。材料・作り方に記載した基材・分量・容器を使ってください。精油ごとの「使う前に」もご覧ください。

量を変えるとき

レシピの「作る量」や「作る本数」から、必要な分量を選んでください。精油の割合を保つため、1滴を分けたり、一部の精油だけ増やしたりしません。

芳香用のブレンド

作っておくブレンドの量と、1回に使う量は別です。ディフューザーなどは、機器の説明書で水量や使用量を確かめてください。部屋の広さだけで滴数を増やさないようにしてください。

肌に使うときの濃度

このサイトでは、肌に使うものの精油の濃度を、体は2〜5%まで、顔は1〜2%までを目安にしています。精油によってはこれより低い上限があり、その場合は精油ごとの上限に合わせています。

ただし、ちょうどよい濃さは、体質やその日の体調によって変わります。初めて使う精油や、肌が敏感なとき、疲れているときなどは、目安の範囲でも濃すぎると感じることがあります。はじめは薄めに作り、少量で肌に合うか確かめてから、ご自身の体調に合わせて調節してください。赤みやかゆみなど、異変を感じたときはすぐに使うのをやめてください。

薄めたあとの量と容器

完成量は、基材と精油を合わせた量です。たとえば基材10mLに精油2滴を加えると、計算上は約10.1mLになります。10mL容器に収まる量とは考えず、完成量より余裕のある容器を選んでください。

希釈の計算について

このサイトでは、精油1滴を0.05mLとして計算しています。実際の滴の大きさは、びんの口や精油によって変わります。

基材量の求め方

必要な基材量=精油の推定体積÷目標濃度−精油の推定体積

目標濃度1%の場合は、計算に0.01を使います。基材量は量りやすいように1mL単位で切り上げます。切り上げ後の基材量で、完成量と濃度を計算し直しています。

計算例:6滴を目標濃度1%にする場合

精油6滴は約0.3mLとして計算します。必要な基材は29.7mLなので、30mLに切り上げます。完成量は約30.3mL、計算上の濃度は約0.99%です。

これは計算方法の例です。使う濃度は、レシピの用途と精油ごとの条件に合わせて決めています。